変容する時代を捉える審美眼と新たな価値の創造が海外市場への扉を開く。

 クロスカルチャー・クリエイティブ・カンパニーのAYDEAを立ち上げ、これからニューヨークを拠点に、グローバルなマインドセットと視野を通して世の中の動きを考察して行きたいと思います。こちらのブログも定期的にアップしていきますので、海外進出の際のヒントとしてお役に立てたら幸いです。

 「米国と日本を拠点にグローバルな文化の架け橋となる」というミッションのもとに AYDEAは誕生しました。以前から日本各地に点在する日本の伝統工芸に触れる機会が多く、日本のものづくりが持つ歴史や文化、長い間伝承されてきた日本人らしい繊細なテクニックに心魅かれました。何百年もの変わらない伝統文化が受け継がれている反面、世の中はグローバル化とテクノロジー化の一途を辿り、価値観も多様化するなかで、ビジネスにおいては今までのように“いいものを作れば売れる”という時代は終焉を迎えました。揺るぎな信念を持ちながらも、今までの成功法にとらわれず、変容していく時代にフィットした価値を生み出すことができなければ、ビジネスでも成功を収めることはできません。

 奇しくも、新型コロナウイルスの蔓延で世界が激変するであろう2020年。この不可解なウイルスの問題が起こらずとも、ここ数年で情報化社会が一層確立し、個人が自由に発言する場を持って世の中を動かす時代になるなど、世界が急速に変化してきていることを感じているのではないでしょうか?占星術では2020年から、約250年続いた「土の時代」が終わり、「風の時代」へとパラダイムシフトを遂げるという、星の動きから見ても大きな変化の年となりそうです。産業革命に代表されるように、「土の時代」は土地や財産など物質面の充実が世の中を発展させてきました。それが「風の時代」へと突入すると、IT産業の進化とデジタル化により、世界中のどこにいても仕事ができたり、シェアライドやシェアオフィス、民泊といったシェアリングエコミーの台頭など、今まで以上に型にはまらない考えや生き方、時代に沿った柔軟性が求められるようになってくるでしょう。テクノロジーの進化は世界を近いものにし、SNSを通じて誰もが個人の意見を世の中に発信でき、影響力を持てる時代。今まで以上に個々の創造性や個性が求められてきます。閑話休題、今まで以上に自由な発想や新たな価値観が評価される時代こそ、そこら中にチャンスが隠されています。興味深いアイディアを素直に賞賛する自由の国、アメリカは日本よりもこうした動きが顕著だなと肌で感じます。

 テクノロジーによる利便性や大量生産など、速さがもたらす時代に逆行するかのように、永続的なものに価値を見出す動きもはっきりと見て取れます。便利な世の中が生み出した歪みは、SDGs(持続可能な開発目標)やサステナビリティへの取り組みとなって表れています。日本には、古来から根付くサステナブルな社会がありました。江戸時代はいいモデルケースで、江戸の街ではものを捨てないというサステナブルな暮らしをすでに実践していたました。壊れた器を修復する「金継ぎ」や古くなった鏡を研いで使う「鏡研ぎ」、ゴミはもちろん肥料として再生されるという、ものを大切にする暮らしがサステナブルな社会を実現していました。私たち日本人のDNAに刻みこまれたサステナブルな精神を変容する今の時代にフィットさせ、新たな価値を生み出すことで、これまで以上に日本の良さを世界に発信することができるチャンスが来ていると確信しています。

AYDEA共同創業者・クリエイティブディレクター
菅 礼子